マイクロバイオーム分野の研究を通して、アトピー性皮膚炎の治療法開発の加速へ:(株)コランダム・システム・バイオロジーが全面的に支援

2020.11.24

株式会社コランダム・システム・バイオロジー(東京都港区、代表取締役社長:大竹秀彦、以下、コランダム・システム・バイオロジー)は、慢性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎(AD)の治療法開発の加速を目的として、イスラエルで行われている研究プロジェクトに全面的な支援をします。アトピー性皮膚炎は、世界で最も一般的な炎症性皮膚疾患の一つで、世界の子供の約20%、成人の約10%が罹患しています*。 しかしながら、まだ直接的な治療法は見つかっていません。

コランダム・システム・バイオロジーが支援するのは腸のマイクロバイオームのヒト免疫への影響を評価する3年間のプロジェクトです。 プロジェクトを率いるのは、研究の発案者で、すでに概念実証を行ってきたイスラエルの3名からなる科学者チームです。イスラエル有数の医療機関テルアビブ・スラスキー医療センター皮膚科のヤコブ・マシア医師(Dr. Jacob Mashiah)、同センター消化器内科のニットサン・マハルシャク教授(Professor Nitsan Maharshak)、およびワイツマン科学研究所のエラン・シーガル教授(Professor Eran Segal)です。シーガル教授は、日本で設立されたコランダム・システム・バイオロジーの発足当時から科学諮問委員会委員を務めています。

この研究チームが最近行った患者9名を対象とした概念実証試験(POC:Proof of Concept)に向けた予備的な試験では、糞便マイクロバイオーム移植(FMT)の実施に焦点を当てたところ、健康なドナーからのFMTが中等度から重度のAD患者の症状緩和に効果的かつ安全な方法であることが初めて実証されました。この移植により、ADの症状は平均で最大70%まで軽減されました。これらの結果に基づいて、追跡調査では、無作為化臨床試験を30人の患者に拡大し、マイクロバイオーム、メタボローム、AD宿主遺伝子と免疫のドライバーを特定し、分離します。    

エラン・シーガル教授は以下のように説明しています。「皮膚と腸はともに免疫学的バリアと調節因子として重要な役割を持っています。腸内細菌叢は、腸の免疫調節作用によって皮膚に影響を与えています。腸と皮膚の関係を裏付ける証拠が増えてきており、多くの研究では炎症性皮膚疾患と腸内マイクロバイオームのアンバランスが関連していることがわかっています。コランダム・システム・バイオロジーがスポンサーとなる今回の研究は、腸内細菌叢の変化がADの皮膚症状を改善するという我々の仮説を証明することに焦点を当てています。」

ADを引き起こすのは、様々な要因の組み合わせだとされています。その要因には、遺伝的素因と免疫系の逸脱、皮膚のバリア機能、微生物のコロニー化、また環境条件等が含まれます。

コランダム・システム・バイオロジーの大竹秀彦社長は、「これまで軽度のADの治療といえば、保湿剤を使った乾燥肌のケアが主流です。重症化すると、外用療法、光線療法、免疫抑制剤などが行われますが、実際には、有効な治療法はまだありません。この研究チームが、腸と皮膚の力学を解明し、微生物学に基づいた治療法の道を開くことを期待しています。」と述べています。

全AD症例の20%は中等度から重度と診断されています。*

コランダム・システム・バイオロジーの研究プロジェクトへの今回の支援は財政面の支援と知財化及び将来的な事業化の支援を含みます。マイクロバイオーム領域の研究と事業創出を促進する株式会社コランダム・システム・バイオロジーは日本発の会社として2020年4月30日に設立されました。

* 出典: Kowalska-Olędzka E, Czarnecka M, Baran A. Epidemiology of atopic dermatitis in Europe. J Drug Assess. 2019 Jun 12;8(1):126-128. doi: 10.1080/21556660.2019.1619570. PMID: 31232396; PMCID: PMC6566979. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31232396/

お問い合わせ:

  • 株式会社コランダム・システム・バイオロジー
  • 広報担当 marketing@csb.co.jp
  • 電話: (03)5404-8590